「教養を磨く」を読んでみた

題名が気になって「教養を磨く」を読んでみた。

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著者である田坂広志氏の本は一度も読んだことがない。というのも書店で並ぶ本が「運気を磨く」だとか「死は存在しない」とか胡散臭い宗教家が書いた本だと思っていたからである。プロフィールを見ると東大工学部卒の教授である。

この本は雑誌に連載された随筆集のようなもので、それぞれ4頁の短い文章で読みやすくはあった。

書かれていることで特に印象に残ったことは、人間関係の問題を真に解決するために求められるのは、人間の心の「小さなエゴ」に処する力であるという。自分のエゴの視点を正しい基準であると思い込み、相手の言動を間違っていると批判・嫌悪する状況に陥るというもの。とてもよくわかる内容である。

では自分のエゴにどう対処すればいいのか。それは否定も肯定もせずただ静かに見つめることだと筆者は言う。このあたりがどことなく宗教的な感じが漂ってる気がした。

あとは幸運は不運な姿をしてやってくるということ。なので人生の解釈力と呼ぶべき力を身に着けることが必要である。

「この苦労で何を学べというのか」「この失敗はどう成長せよということか」といったいかなる逆境も肯定的に受け止め、それを超えていく力のことである。まさに今の自分にとって必要な力であると感じた。

また戦略思考についても述べられている。問題解決に取り組む戦略思考についての心構えとしては「橋のデザインを考えるな。川の渡り方を考えよ」。そして人間心理の機微を理解することが必要という。

さらにこれからの時代は、論理思考ではなく直観判断による「戦略的反射神経」が重要になってくるという。確かに自分も直観的に思ったことで物事を判断する癖があるが、これからのニーズに合ってくるのかしら。

この本は様々なことが著者の感性で示されておりなかなか面白かった。

「人生で起こること、すべて良きこと」とあったが、まさにその通りに考えるよう、自分磨きが必要である。