「DIE WITH ZERO」を読んでみた

なかなか面白い本に巡り合えた。f:id:fritz507:20230215203707j:image

前書きのところで「アリとキリギリス」という童話を引用し、”アリはいつ遊ぶことができるのだろう?(アリの人生?は豊かだったのか?)”と筆者は問うている。人生を豊かにするためには金をためるのではなく、人生最後の日に使いきれ!というのが本書のテーマである。

人は、寿命があることが分かっているのにもかかわらず、普段、人生が永遠に続くかのように生きている。そのため金を節約し、いつ使うのかわからない用途のためにひたすら貯金している。

自分も買いたいものを買わずに我慢して金をためているような人種だと思う。そう、「マルサの女」で山崎努演じる人物が「コップに水がたまり、そこからあふれてくる水をすする」ような感覚で生活している気がする。本書では、それはナンセンスだと主張している。

著者は、人生の充実度を高めるのは、その時々にふさわしい経験であったり、今しかできないことに金を使うべきだと。死ぬまでに金をすべて使い切る、すなわち”ゼロで死ぬ”ということを目指すべきだ。人生で一番大切な仕事は思い出づくりであり、若い時にしか経験できないことは、たとえ借金してでも体験すること。その経験・思い出は、決して金で買えないものだと筆者は記している。

確かにそのとおりである。金は墓場まで持っていけるわけでもないし、あと30年生きるとしても、その間にできる限りの体験をするために自分が持っている金をすべて使う。これが上手な生きた金の使い方のような気がした。

あと本書にはライフエネルギーという概念を説明しており、例えば1時間働いて稼いだ金額を使うことを1時間分のライフエネルギーを使ったという考え方である。仮に時給3,000円なら、6,000円相当のものを買う場合、2時間働くことに相当する。交通機関を使い30分短縮できるとすると、それは1,500円相当の価値があるかということである。面白い考えだと思った。時間を金で買うということはこういうことかと改めて感じた。

また人生を最大限に充実させるため「金」「健康」「時間」のバランスが大事であると筆者は言う。本書を読んで健康が大事であることはもちろん、限られた時間の中でできるだけ多くの経験・思い出を作るため、これからはケチらず金を使っていこうと納得した。

そういう意味では一人旅をするというのはなかなか良い行動である。あと本を購入するのも良い行動だ。

これからも自分のやりたいこと、ほしいものはあまり我慢せず、思い出を買うという意識で金を使っていこうと思う。

本書は今の自分にとって背中を後押ししてくれる良書であった。